プロフィール

N

Author:N
東北出身関東在住
趣味は旅に出る事

最近のコメント
最近のトラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告  

エイディブル
カニバポエム

推敲も何も無し
陳腐

文章を書く、よりも
絵を描ける人間になるべきかも知れない



「それで、病院に連れて行こうとは思わなかったの?」

 ―連れて行っても無駄だと思ったんです。

「どうして?」

 ―呼んでも、全然起きないから。

「病院に連れて行かないにしても、誰かを呼ぼうとは思わなかったの?」

 ―はい。

「呼んだ方がいいとは考えなかった?」

 ―はい。

「それで、その…君は…彼を…」

 男は言葉に詰まってしまった。当たり障りの無い言葉を探しているが、どうにも言葉が見つかりそうにない、という感じだった。



 切っ掛けはほんのささいな変化。
 小さな悲鳴と、大きな物音。

 …そして突然、彼は動かなくなった。




エ イ デ ィ ブ ル




 ベッドが軋む、音。

 時々、この音に起こされる度に、安物を選ぶべきでは無かったといつも後悔する。二人で眠れれば何でもいいと、一番安いものを選んだ。
 この音に時々苛つかされる俺とは裏腹に、彼はこの音が非常に気に入っているらしい。時々、わざとこの音をさせるのを知っている。壊れるからやめろと言っても、「壊れたらもっといいのを買えばいいじゃないか」と言う。

「エリック。…うるさい」

 まだ起きたくない。静かにしてくれ。
 そういう俺にエリックは嬉しそうだ。

「おやすみ、カール」

 そう言って、頭を撫でてくる。ふと耳に触れた、手の冷たさに、俺は叫んで飛び起きた。

「エリック!ベッドでアイスを食うのはやめろって何度言わせるんだ」

「ごめん」

 ジェラードの小さいカップと、プラスティックの小さいスプーンを片手に、エリックはばつの悪そうに笑って見せたが、それを冷凍庫に戻す様子はない。
 それどころか、ベッドに座ったまま、カップを開けはじめた。

「カールも食べる?」

「…いい」

「美味しいのに」

「毎朝毎朝、病気になるぞ」

「心配ないよ」

 

「お前…チョコレートの香りがする」
 
 甘いものはチョコレートがいい、そういつも言うエリックからは、チョコレートの香りがするような気がする。

「毎日食べてるからね」

「香りだけじゃなくて、チョコレートの味もするかもね」

「…試してみる?」

「冗談」

「冗談だよ」

「でも、もし俺に何かあったら…」





 切っ掛けはほんのささいな変化。
 小さな悲鳴と、大きな物音。

 …そして突然、彼は動かなくなった。





 エリックは、…呼んでも起きて、来ない。

「…エリック」

 何度呼んでも、微動だにしない。



―でも、俺にもし何かあったら…、


 いつ食べられてもいいように、せめて食べやすいように、
 チョコレートの香りがするように…。


 一つ残らず、オレを食べてしまって。




 男は、結局、言葉に詰まったまま黙ってしまった。
 何を言いたかったのか、わざわざ言われなくても僕は分かって居た。

「…食べました。それが、彼の望みだったんです」
スポンサーサイト
ss CM(0) 

New LogTop LogOld Log

COMMENT


PREV PAGE   TOP   NEXT PAGE

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。